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長歌「福岡タワー」
万葉集冒頭の雄略天皇の長歌に倣って。
福岡タワーが、百道浜で働く私たちに語りかけるという設定で。
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夢もよ 佳き夢み
暮らしもよ 佳き暮らしし
この街に生くる人々よ
名を告げよ 個々に語りかけたし
祥あふる 百道の街で
昼間には 空にそそり
夜の間は 夢を灯し
われこそは 在りて告ぐるもの
高く 明るく
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「在りて告ぐるもの=存在すること自体に価値がある」と云える者の偉大さは、「自然(=この宇宙すべて)」をおいて他にないと思っていたけれど・・・このタワーの美しさは、人工物とはいえ、誇らしいほど惹きつけられますね。
※せっかくなので、短歌形式の「反歌」も付け加えておきましょう。雲(霞)の上のタワーからの呼びかけに、地上に暮らす人間たちの中からのレスポンスとして:
デジタルに 居並ぶ樅(モミ)の 高ければ
浮かびて霞(かす)む 父母の俤(おもかげ)
※ 最後に雄略の本歌を。万葉集巻一から↓
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籠(こ)もよ み籠(こ)持ち
掘串(ふくし)もよ み掘串(ぶくし)持ち
この丘に 菜 摘(つ)ます 児(こ)
> 籠も、まあ、よい籠を持ち、
> 掘串も、まあ、よい掘串を持って、
> この丘で菜を摘んでいる娘さん!
家 聞かな 名 告(の)らさね
そらみつ 大和(やまと)の国は
> 家をおっしゃい。名前をおっしゃい。
> この大和の国は:
おしなべて われこそ居(お)れ
しきなべて われこそ座(ま)せ
> すっかり私が支配しているのだが、
> 隅から隅まで私が治めているのだが、
われこそは 告(の)らめ
家をも 名をも
> この私の方から打ち明けよう!
> 家も、名も。
(万葉集 巻一 一)
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