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スタッフブログ

社会の第4部門(QUATERNAIRE)

シンクタンクRIETIのDiscussion Paper Seriesに掲載されていた「日本におけるサードセクターの範囲と経営実態」という報文を見ました。本投稿の末尾に、この報文の前半部分のエッセンスを抜粋して転記しておきます。その抜粋の2つ目「サードセクターの概念と範囲」の内容を図に可視化して、著者の言う「サードセクター」を、あえて「第4セクター」と書き換えたものが、下の図です

 

著者(後房雄氏)は、サービスの担い手として行政・企業と並ぶもう一つのセクターという意味で、「サード(第3)セクター」と言っていて、具体的には、NPO(非営利)、各種組合、社会的企業(営利)等を例示しています。彼の論旨(「サードセクターの概念と範囲」)は、きわめて理に適っていますが、この彼の説明に従って上のように図示にしてみると、まず「国」と「市場」と「市民」の三極があってそれらに個々に関わりながらも、どの一つにも全面的には加担してはいない部門(セクター)として新セクターを浮き上がってきます。つまり、後氏は「サービスの担い手」として新たなセクターがトライアングルの中心にあるんだ、と言っているわけです。

一方、僕は、先の図を、「国家⇒政治システム」「市場⇒経済システム」「コミュニティ⇒社会システム」の三つを頂点に構成される「世の中のトライアングル」と見ることもできるだろうと考えてみました。そういうふうにみると、これら世の中を構成する三極(三つのシステム)のどれにも属さず、かつ、どれとも深くかかわっている「創発的」ボジショニングを、「第4セクター」と呼んでもいいのではないか、と思い至ったのです。

 「第4セクター」「第4部門」「第4次産業」「第4の価値」というコンセプトは、すでに多くの人が論じています。フランスの社会学者ロジェ・シュー、日本のJST元理事長の北澤宏一先生などです。たとえば、ロジェ・シューの主著を掲げると↓

                

なんだか、今の”facebook”のイメージを先取りしたようなイラストですね。彼が「第4次産業」という時は、農業を一次、工業を二次、商業・サービス業を三次とした場合、「第4次産業」とはサービス業に限りなく近いのだけれど、それは「相互サービスである」「一方的供給ではない」ということを強く主張しています(ナノテクラボ佳季通信・2011冬春合併号・編集後記)。
 
僕の理解はこうです。三次産業の中の新たな可能性として「第4次産業」が勃興するでしょう。そしてそれが、農業(一次)と工業(二次)の在り方を変えていく(供給型から需要対応型へ)はずです。そうした動きが大きく進むと、旧来の商売の方法(第三次産業)よりも、(創発的な)「共創的な」第4次産業が主流となっていくのではないでしょうか。このイメージは、いくつか前の投稿(「共に生きる未来(フーコーを超えて)」201208029.)に載せた図の左下部分に示しています。そこでは、④が「第4次産業」を指しています。

 話がずいぶん拡散してしまいましたが、最初に掲げたトライアングルの真ん中のアクティビティをどのように具現化していけばいいのか、その中で、僕らの財団のような組織がどのような貢献を果たしていけば、この都市が/この国が/この星が、より住み良く変わっていけるのか、それを考えながら活動していきたいと決意しています。                                                                          /EOF/

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Ref: 「日本におけるサードセクターの範囲と経営実態」(RIETI後房雄,2011)より抜粋(↓)

 ■日本のサードセクター(※)全体像
(※サービスの担い手として行政・企業と並ぶもう一つのセクター)

 特定非営利活動法人(通称NPO法人)だけにとどまらず各種公益法人を含めた広義の民間非営利組織(NPO)、さらには各種協同組合や社会的企業をも含めたより広いサードセクター組織の全体を、政府行政、営利企業と並ぶもう一つのセクターとして明確に位置づけ、その全体像と組織や経営の実態を明らかにしたうえで、サードセクターに期待される役割や価値が十分に発揮されるような制度設計を工夫していくことが必要である。
(なお、「サードセクター」という新しい言葉は日本において従来用いられてきた「第三セクター」、「三セク」などの言葉とは全く異なった意味で用いている)

■サードセクターの概念と範囲

第一に、[国家]と[市場やコミュニティ]は、公共―民間という境界線によって明確に区別されるが、サードセクターは、同様にこの境界線によって国家と区別されながらも(国家の普遍的価値に対するサードセクターの特殊主義的論理)、同時に国家とは緊張関係を孕んだ密接な関係にある。

第二に、[市場]と[国家やコミュニティ]は、営利―非営利という境界線によって明確に区別されるが、サードセクターは、同様にこの境界線によって市場と区別されながらも、同時に市場ないし企業とは緊張関係を孕んだ密接な関係にある。

第三に、[コミュニティ]と[国家や市場]は、非公式―公式という境界線によって明確に区別されるが、サードセクターは、同様にこの境界線によってコミュニティと区別されながらも、同時にコミュニティとは緊張関係を孕んだ密接な関係にある。