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スタッフブログ

Carlos Kliber, 加速度のタクト。

古い録画を取り出してクライバーの指揮を見る、久々・・・。曲はベト4。月末に奥さんが友だちがたくさん待っててくれる水戸で小澤のベト4ゲネプロを聴きに行くというので(その日は僕は山口出張なのでした〜w あらら)。

見てると(聴いてると)、泣いてしまうのが恥ずかしいからアッハッハ!なんて、クオリティの高さに改めて唖然みたいなお芝居しながら、なんとか付き合うのだけれど・・・

クライバーの、(これは視覚の方ですが)腕や指のホネのことごとくが柔軟化してしまっているのでは?と錯覚するほどの繊細で柔らかなタクト捌きゆえ、両腕と言わず彼の身体全体が、音の波の上を舞っているみたい!すげ〜もう30年も前の演奏なのに!

細やかなタクト捌き(さばき)から急に大きく腕を回す動作に移ったりする、それがあまりにダイナミックだから音量や速度が大きく変わるのかと思うと、実は、それらの大半(もちろん、ガ〜ンと行くときは行きますよっ!)が、「溜め」や「間」のサインであって、それらひとつひとつがどれひとつ同じでないバリエーションから構成される様々な一瞬一瞬を風に舞う花びらの一期一会のハタメキのように奏でることを・・・阿吽の呼吸で誘引する!!

言ってみれば、それは力や速度の指示というよりは、その「微分」、つまり、加速度のサインのようなのだ。メリハリの利いた手綱捌き・・・みたいな。

音楽は、(逝く者は斯くの如く)滔滔と流れる、(しかし良く観れば)流れのカーブの内と外、岩の前後左右、岸辺への寄せて引くアンジュレーションの水の流れの、その「微分」をみれば、いたるところ、いたるときで生まれては消える。

それが、クライバーのタクトの先から、迸り出ていく・・・