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スタッフブログ

未来の作り方

電力(本当は電気に限定せず「人類の活動に必要なエネルギー」というべきかな)のことを、ちょっと真面目に。

2012年の春、職場の研究顧問会議に下のようなスライドを示して、電力・エネルギー供給の話をした。

3.11から数えれば、すでに我々は「一つの夏と一つの冬」を過ごした時点に立っていた。

原発再稼働・脱原発云々とは関係なく、この当時、電力システムのことを真面に考えていた日本人の中で、少なかぬ人たちの頭を支配していた図式は、たぶん、左上の図。

つまり「今」を静的に捉えて、これを変えるのは大変なことだぞ、と思い込んでいた。電力のベースロードを原子力で支える国家的エネルギー戦略を(覆すべからざる)「城」なのだと。(実際うまく行っているときは正にそうなのですが)、それだけに囚われてしまうのが、我々のものの考え方の一種致命的な特質ではないかと感じずにはいられない。

「今を静的にとらえて」、それこそが「現実」であって、それを変えようとすることは「非現実」とまで言い切らないにしても(内心は)「子供じみた考え」であるとお互いの顔色をチェックしながら、「現状の微修正」で何とか切り抜けようとする。

一方、右の図は、ドイツのコンテキスト。2100年まで見通したら、どこまで知恵と勇気を振り絞れるかを考える。ヨーロッパ半島を支える責任感(仏の原子力、露の天然ガスの担保云々はあるにせよ)が働いているような気がする。そして、こちらは「未来を見据えた動的な見方」と云うことができる。

本当は、日本人こそ「変化に対応することが上手なはず」だったのに。ただ、日本人が身についているはずの「変化のカタチ」は、「循環」かもしれぬ。それならそれで、つまり、循環なら循環の発想(~サスティナブルな思想)で、エネルギーの七変化の知恵(☆★)を独自に働かせれば、ドイツに匹敵するような見識は示せたのではないだろうかと残念な気がする。

 

さて、次に掲げる図は、2013年4月7日のカリフォルニアの例。詳しくは↓

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130807/252083/?ST=mirai&n_cid=nbpnbo_mlt

自然エネルギーのみ。勿論、全カリフォルニアが消費する電力の全てではない。その約30%。

注目すべきは、この30%の枠組み内とはいえ、自然エネルギーだけで「自立」できるように、「風任せの風力・日照まかせの太陽光」に対して、ちゃんと「ベースロードを担える地熱・小水力・バイオエネルギー」を配している。

どうです。ベースロードに原子力を据えた最初の図の左側の、かつての日本の電力構成図を、自然エネルギーだけで構成してみせてくれているでせう。

もちろん、全消費エネルギーの残り70%を化石燃料と原子力が担っているはずだから、そのおかげで、ベースロード部分が薄くて済んでいる部分はある。とはいえ、「少水力」がベースロードの一翼を担って新たな可能性を実証していることは重要。これは、先の日本の図の「ピークロード(緊急対応即時発電)」として位置づけられている「ダム型水力」とは、全く別の位置づけ。

今後は「地熱と小水力だけでどこまでベースロードを担えるか」を新たな技術開発の伸び代を含めてシミュレーションしていくことが大事。

さらに「地熱」については、これは基本的に「水より低沸点の媒体を沸騰させるバイナリー発電」なので、この技術を通じで、「熱」を如何に有効に使うかという発想を誘発し始めるだろうところに非常に重要なポイントがある。

それは、つまり、「民生の電力エネルギーの半分が熱として利用されている」ことに気付けば、「自然の光や熱を一端電力に変換して更にまた熱にして使う」のでなく、「光を熱に、あるいは、熱を熱のままハンドリングして使う」という選択肢が顕著になる。

そうすると、残り70%の電力は、実はあと20%プラスすれば、あとの50%は「熱利用システムで賄える」というということになって・・・・・

あっと驚きますが、米国加州の場合、結局、「全エネルギーの80%を脱・化石燃料、脱・核燃料で得ることができる」という単純計算になる。

ここまで来ると、ますます革新的取り組みの的が絞り込めて来て、例えば、「光電変換」以上に「光熱変換(★☆)」に技術開発のリソースを割くことや、「蓄熱(バックアップ熱源)」によるエネルギー供給の時間展開を平準化できて、その結果として、ベースロード負荷を下げるシステム開発など、着々と全体最適化が進むはず。

「今を静的にとらえる」ことのみに縛られなかったら、様々な「未来の作り方」が見えてきますね。

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☆★:エネルギーの七変化については、例えば↓

https://www.hightail.com/dl?phi_action=app/orchestrateDownload&rurl=https%3A%2F%2Fwww.hightail.com%2Ftransfer.php%3Faction%3Dbatch_download%26batch_id%3DWFJVZUNnYTJwcFhMbjhUQw

★☆:光熱変換については、例えば↓

http://www.u-ryukyu.ac.jp/top_news/chizai14_2012090301/