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スタッフブログ

ILCは「イノベーションの共鳴場」となるか!

職場の研究開発活動に横串を入れるにはどうすればいいか?(つまりITやナノテクの研究者が一つの目標を共有するためには?)と悩んでいた時期、2011年の秋から冬にかけて、所議のメンバー向けの話題提供の形で4回、「研究戦略プロセス:タブローシリーズ」というのをやったことがある。

タブローとは「一幅の絵」。A3一枚(場合によっては裏面に補足)、見れば一目で、って感じのもの。全4回を更に一枚にまとめたものをHPにUPしている  ↓

http://www3.isit.or.jp/biz/long-mid-term/

【7】-(2)の図。その左上の「tableau_02」が今回の話  ↓

「オープンインテグラルの巻」: ここでは、日本ならではの「新しいモノづくりのカタチを探る」という大それた話をした。東大の藤本先生の産業論と常温核融合で話題になった山口栄一(NTT時代の先輩)の本(「イノベーション 破壊と共鳴」)をネタに。

後者の話を僕なりにまとめたのが、下の図 ↓

イノベーションを目指す技術者が①行き詰って②第一線から退いていく。そこで諦めるか、ボトルネックを直視するか。このとき、本質的な現象理解や根本的な原理に関する知識を持った人と出会うことができたら、横軸を右に進むような知見の広がりがでてくる。この出会いのステージを③「共鳴場の形成」と呼ぶ。縦軸で見るとわかるけれど、ここは、サイエンスの深いところ(真理の泉)。そこでの議論や考察が、ブレークスルーの発見を触発することがある(④)。このポイント④を山口は「パラダイム破壊の共鳴点」と呼ぶ。ここから一気にイノベーション技術が立ち上がって大きな成果に到達する。

スイスのセルン、そう、あのヒッグス粒子を見つけた巨大ハドロン加速器(LHC)のある欧州研究機関。あそこは、山口の言う「イノベーションの共鳴場」という機能を大いに発揮していたんだなあ、と気づいたのは、つい最近。

もちろん、LHCの本業は素粒子物理実験そのものにあるわけですが、外から見た場合(たとえば図の①や②を営む技術者や科学者や先端的な事業者などから見た場合)、まさに③の「共鳴場」として輝いてみえるでしょう。超伝導加速器の超真空技術を使って太陽熱集熱装置を作ったメーカとか、抗体医薬メーカとかにとっては。

一方、wwwやタッチパネルの場合は、内部の必要性から生まれたイノベーションだと思いますが、知識を集約しアイデアを具現化していく知の踊り場の機能は、まさに「共鳴場」と呼んで良いと思います。

そういう拠点が、ILC(国際リニアコライダー)となって、LHCを一段越えた規模で日本にやってきます(やってくるはずです)、いよいよ。

この「共鳴場」を我々が使わない手は無い。そして、それは、我々から①②③のように働きかけなければ、何も起こらない。ILCを歓迎し、親しく交わらない限りは何も起こらない。「宝の持ち腐れ」なんて勿体ないことをしてはいけない。

そのためには、今のうちから、市民(国民)ひとりひとりが、ILCのことを深く理解していく必要がある。でも幸いにも、僕らには「ILC基礎読本」があるではないか、こんな素晴らしいことはないと思います。

——

付記) 上記の「共鳴場」というよりは、産官学民の誰でもが集えて知の交流ができる場所を職場のコーディネータが創りました。これは、上記に引用した「tableau_02」というよりは、実に意外なことに、「tableau_04:ファンドレイジング」系統の流れ(つまり産官学民の仲間をもっともっと増やすためには何が必要か)の中から出てきたのでした  ↓

ISIT新コミュニティスペース:

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http://www3.isit.or.jp/staff-blog/archives/1489