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スタッフブログ

多様性(その2) 若き天才の出現

「生命の最も重要な特徴は、物事を抽象化する能力である」

これは天才の物言いですね。

受け手の戸惑いをよそに本人は至って大真面目で堂々としている。

上田泰己、27歳で理研のプロジェクトリーダーになって十年。

体内時計(概日時計)研究の第一人者。拠点は神戸。

上田が語る「体内時計」の特長は3つ。

①24時間周期で一回りする。

②朝になるとリセットされる。

③時を刻む生体反応は温度に依存しない。

実際に2009年に彼のチームは「温度に依存しない酵素」を発見する。

「なぜこの酵素が温度に依存せず働けるのかは、直(じき)に解明できる。その仕組みが分かれば、生物の多様性の一端を押し広げることができるのではないか」

ここでも普通でない文脈が出てきましたね。つまり、「ローカルに依存しない仕組みが、多様性を生み出す」と言っています。我々は、「ローカルの多彩さ」のことを「多様性」と考えがちなのに。

こういうところに、隠れた仕組みを探り出す科学者の面目があるのでしょう。

ローカルに依存しない「普遍性」を生命が獲得したからこそ、千変万化なこの地上環境の中で、生命は「多様性」という姿で適応することができたのだ、と言っている。

この「普遍性」こそが、冒頭に現れた「抽象性」の別名なのですね、きっと。

ところで、体内時計の研究はどこまで進んでいるんだろう。

時計が一回りすることは、論理的には「行って、戻ってくる」のプロセスを成り立たせる一組みの酵素反応を見つければいい、というのが、作業仮説らしい。

こうした酵素の働きがプログラムされた遺伝子ネットワークの仕組みを解明しようとしていて、朝と昼と夜それぞれを司どる三つの遺伝子配列の連動の仕組みを2011年に解明。

さて、いまはどこまで進んでいるのだろう???