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スタッフブログ

The Daylight View

世界の見方として、「昼の見方」と「夜の見方」があって、前者は生命に溢れ動的で、後者は理詰めで静的。夜の見方の典型として、例えば「理」を重んじる朱子学、例えば西洋の絶対的一元論を上げるとすると、昼の見方(daylight view)の方は、福沢諭吉の実学思想の母体にもなった伊藤仁斎(1627-1705年)の古義学、ウイリアム・ジェイムズの多元的宇宙論などがあげられそう。

昼の見方の代表が、日本とアメリカの、それぞれに独特なプラグマティックな思想だというのは、なかなか興味深い感じがする。彼ら二人の世界把握(宇宙理解)の文脈を覗いてみよう。仁斎は(万物が往来する)「道」といい、ジェイムズは(その中でこそ思考が流れるがごとく機能する)純粋経験が最終的には発展的な多元的宇宙を形作っていくと言っている。

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 道(タオ)は、なお、路(みち)のごとし。

 人の往来通行するゆえんなり。

 故におよそ物の通行するゆえんの者、

 みなこれを名づけて「道」という。

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われわれが経験主義者であろうと理性主義者であろうと、われわれ自身が宇宙の一部であることに変わりはなく、その運命の行方に深い関心を抱いているという点では全く同じであろう。そして、われわれは、宇宙に対して、もっと本当の意味で寛いだ感じがもてること(feel more truly at home)を切望しており、宇宙がより良きものになるために、僅かやなりとも貢献したいと思っている。

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そうだ、僕がジェイムズの「多元的宇宙」を読もうと思った動機は、漱石が「修善寺の大患」から奇跡の生還をして、

「生き返るわれ嬉しさよ菊の秋」

の俳句(喜びがこぼれおちるような、涙が出るくらい素直な句)を記した二日後の彼の日記を読んでから、ずっと気になっていたから。

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漱石日記(明治四十三年九月二十三日)

(前略)

昨日は雨終日。

午前にジェームズの講義(※)をよむ。面白い。

『楚辞印略』を繰り返し見る。面白い。

会話の本を読む。面白い。

昨、雨の音を聴く。夜も止まず。

範頼の墓濡るるらん秋の雨

菊作り門札見れば左京かな

午前中ジェームズを読み終わる。好き本を読んだ心地す。

 (後略)

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 (※:漱石は寝床で原著を読破。すごいなあ)

「生き返るわれ嬉しさよ」って、まさに、The Daylight Viewが開ける感じですね。

この次はリニアコライダーの話を書きますね。僕の中ではまるで一本道のようにつながっているんです。コライダーが解明しようとしていることと多元的宇宙論は。