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情報セキュリティ研究室

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電子情報通信学会(IEICE)2015年総合大会

■参加会議名: 電子情報通信学会(IEICE)2015年総合大会

■参加日時:2015年3月10日9:00~17:00
■場所:立命館大学びわこ・くさつキャンパス
■報告者:ISIT情報セキュリティ研究室 穴田 啓晃 研究員
謝辞:本出張に関し報告者は下記の交流事業助成金の支援を受けております.ここに深謝申し上げます.

  • JSPS二国間交流事業共同研究「暗号原理を用いたセキュア通信システムの数学的設計と解析における計算論的側面」

(左)立命館大学びわこ・くさつキャンパスとIEICE2015年総合大会案内.(右)”A-7. 情報セキュリティ”の一般セッション.

 

■内容:IEICE総合大会は,電子情報通信学会(IEICE)が毎年3月に開催する恒例の学会であり,情報セキュリティを含む広範な技術領域から多数の研究発表及び講演がなされる.発表は,3月という時期から,学生らが教員から卒業研究指導された成果を公表するケースが多い.このため,学のコミュニティと交流するのに好適である.また,講演は,学会の年に一度の総合大会という位置付けから,普段は見られない貴重なものが多い.以下,研究発表2件,特別講演1件について概要と所感を報告する.

一般セッション情報セキュリティ310日午前/参加者数:40名)

■発表“Kurosawa-Desmedt (KD) 暗号を用いたパスワード認証付き秘密分散法(法政大:新井氏,尾花教授).秘密分散法は,秘密データを複数のshareに分割しn人のユーザに配付する/復元にはk(≦n)個のshareを集める,の技術で,暗号学では30年以上前から知られており,今なお研究が盛んである.本提案は,パスワード認証によりユーザとshareを直接結びつけることで,shareの不正な利用を防ぐものであった.パスワード認証部分に準同型性なる数学的構造を持たせるのがポイントで,既存研究に対しより強い攻撃に耐えうるように改良したとのことであった.会場からは,安全性の厳密な(数学的)証明に関しアドバイスがあった.

■発表秘密分散法とサーバアプリ, スマートフォンを用いたパスワードマネージャのUDSフレームワークによる性能評価(東北大:長谷川助教ら).ユーザが記憶できるパスワードの数は高々7, 8個である一方,近年のネットワーク利用は30歳代で30以上であり,パスワードの使い回しを避けるにはツールの利用が便利である.パスワードマネージャ(PM)はそのツールの一種で,例としてURLID,パスワードをセットで管理する.便利ではあるが,そのPMへのアクセス自体がマスターパスワードによる危険がある.本提案はマスターパスワードを秘密データに見立て,スマートフォンやノートPCに秘密分散するもので,《UDSフレームワーク(Web認証方式を評価する枠組み)》なる評価基準に基づき評価したとのことであった.大項目には可用性,技術展開のしやすさ,安全性等があり,提案方式は(30ほどの小項目中)6項目が向上,1項目は低下したとのことであった.

 

シンポジウム「最新暗号ツールの研究動向:完全準同型暗号、多線形写像、難読化」(310日午後/参加者数50名)

■講演完全準同型暗号, 多線形写像, 識別不能難読化の数学的基礎:特に格子問題”(NTT 草川氏).暗号学ではここ5年程,完全準同型暗号(FHE),多線型写像(MLM),識別不可難読化(iO)等,暗号の機能を劇的に進展させる要素技術が発明されている.本講演は第一線の研究者による解説であり,聴講者に対する教育的な情報提供や技術レベル底上げを意図したものであった.FHE, MLM, iOには,高度な数学概念である格子” 及び付随する,解くのが困難な格子問題” が使われている.この概念や問題について,見通しのよい,かつ大変手際良い印象の解説を頂けた.ISITとしてもこれらの要素技術を研究していく.(以上)

(左)(右)

(左)AI-1. 招待シンポジウム「最新暗号ツールの研究動向:完全準同型暗号、多線形写像、難読化」.小さめの会場は満員に.(右)九州大学マス・フォア・インダストリ研究所の高木教授から.最後に”PQCrypto2016″の案内(ISIT共催).